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【RPGゆるふわ語り】難易度変動システムに関するあれこれ 〜「難易度を分けない難易度調整」とか

最近いろいろとRPG(とくにフリー、同人ゲーム)をプレイしていて、自分が好ましく感じる難易度変動システムみたいのが何となく見えてきたのでゆるふわっと語ってみます。

以下、(個人の見解です的な大前提以外で)御注意事項。

  • 自分は(ほぼ)プレイヤー側の人間なので、制作者さんにとって有益な内容になるかはわかりません。記事の内容は、作品をプレイしたり、その作品の作者さんのご発言などから自分が読み取った内容がベースですが、正しく意図を読み取れている保証は全くありません
  • 今回の記事では主に、制作者が決めた道筋をプレイヤーが辿っていき、ゲーム進行に応じておおむね決められた敵と戦っていくタイプのRPG(ざっくりと言えばJRPGフォーマット)を想定しています。ランダム性が生み出す状況に随時対処していくタイプ(ローグライクRPG等)には当てはめにくいかもしれません。
  • 前回のゆるふわ語り(ザコ戦全スルー派がザコ戦全スルー可能なゲームを見極める手段、および全スルー派でも気持ちよくプレイできるザコ戦とは)のテーマからも自明なように、自分はRPGにおいてはどちらかといえば高い難易度を求めるプレイヤーです。今回はテーマ的に、低い難易度を求めるプレイヤーの存在も考慮して語るつもりですが、どうなるかはわかりません。

そんな感じで、書き始めの時点ではどういう話になるのかもはっきり決めないままゆるっと行ってみます。以下本文。

「敵の強さを変えない難易度変動システム」について

まず、難易度を分けるという行為にはおおむね以下の2つの方向性があると思います。

  • 作者の当初想定したゲームバランスではクリアできない人に向けた救済措置(難易度名のイメージとしてはイージー、カジュアル等)
  • 作者の当初想定したゲームバランスでは飽き足りない人に向けたサービス(難易度名のイメージとしてはハード、ナイトメア等)

後者については作る側もプレイする側も「余力があって、やりたければやればいい」的なプラスアルファだと思いますのでひとまずここでは置いておいて前者に話を絞りますが、このタイプの難易度調整には以下の課題がつきものかと思います。

  • 制作側:複数の難易度(ゲームバランス)を管理する手間が発生する(パラメーター設定、テストプレイ等)。
  • プレイヤー側:あらゆるゲームにおいて統一した基準で難易度が分けられているわけではないので、プレイする前の時点では自分がどの難易度を選べばよいか判断がつきにくい。ゲームバランスとプレイヤースキルのミスマッチにより「敵に勝てずに詰む」あるいは「ぬるすぎる」という状況が発生する。

これを回避するためにいくつかの手段が考えられます。ここでは「敵の強さは1種類のまま難易度を分ける(あるいは分けるのと同等の効果をもたらす)方式」で自分が良いなと感じたものについて語っていきます。

難易度を分けない+キャラクターを強化しやすくする

単純明解で、特にフリーゲーム等だとよく使われている方式かなと思います。まあ、あんまり説明の必要もないかな。稼ぎ戦闘がしやすいとなお良いですね。フィールド型だとモンスターを呼ぶアイテムがあるとか、ノンフィールド型だとワンキーでザコ戦ができるみたいのが定番でしょうか。

デメリットとしては、強化しやすくするということは全体的にはゲーム自体が簡単になるということで、それを受け入れるかどうかの判断は必要になってくるかと思います。(低レベルクリア勢としては、「歯応えを求めるプレイヤーなら自主的に強化を縛るのでまあ問題ないんじゃないかな」とは思いますが。)

敵の強さ自体は変えず、キャラクターを強化しやすくする難易度(というかモードというか)を用意する

スキル解放など、ポイントによりキャラクターを強化するタイプのゲームで最初から強化用のポイントが多く手に入る(あるいは、貰える量が増える)モードなど。まあ、敢えて特殊なポイントの話にしなくても「取得経験値に補正が入る」とかでもいいのですが、よく見かけるのは特殊なポイントの方というイメージなので。

特にこうしたキャラクター強化リソースの供給に制限が無い(ザコが普通にリポップする)タイプのゲームであれば、いってみれば「キャラクターが自力でやろうとすればできることの肩代わり」なので、(敵の強さ的な意味での)難易度自体はあくまで1種類の想定でバランスを取ればよいというのはメリットかと思います。

チート的な装備の提供などもこれに近い感じかなと。ただこれについては、あくまでも救済措置的な装備品であることがプレイヤーにはっきりわかるようにするのが良いかなと思います。以前、(普通の意味での)最強装備っぽいのを入手したぞ!と思ってラスボスと戦ったらサクっと倒せてしまい、後からどうやら当該装備は救済措置的な扱いだったことを知って「やっちまった……」となったりしたこともあったので。

ボス戦など、一部戦闘にのみピンポイントに難易度変更を導入

ボス敗北時の「難易度を下げてリトライ」など。「負けて初めて難易度を選べる」のがポピュラーでしょうか。最初から敵が弱いのではなく、歯が立たなかった時だけ下げられるのがポイントですね。まずはガチで挑戦することができて、それでいてダメだった時の保険もあるという安心感。

妥当な仕組みだと思いますが、個人的には「難易度を下げてリトライできて、その結果とくにデメリットはなくプレイログ(たとえば「難易度○○でクリア」の実績など)にも影響がない」となると、若干もにょっとする事があったりなかったり。まあソロプレイのRPGなら人と競うようなものではないので気にしすぎかなとは思いますが。あ、でもコンシューマなど他者と共有できる実績要素がある場合だと……まあ、この話は本題ではないので置いておきましょう。

さておき。このタイプで最近よいなと思ったのは「木陰のアンチクリスト」(窓の杜の紹介記事)です。難易度が「Vesper(ふつう)」と「Aurora(かんたん)」の2種類あり、後者ではゲーム内容が以下のように変化します。

  • ボス戦でリトライを行うたびに敵のLP(≒HP)が最大値の10%低下(全体的な能力ではなくLPだけ下がるというのが個人的に好印象。敵の攻撃の激しさなどは変わらないので、ある程度の緊張感を持ちつつ「倒すまでにかかるターン数が下がっていく」というのは適切な調整に感じます)。
  • Auroraを選んでもストーリー進行等に一切影響はないが、実績要素にのみ影響する。
  • 「強化用のリソースが最初からいっぱいもらえる」方式も併用。もらえる量も多すぎず少なすぎず、程よい量に感じました。

パラメーター変動タイプの難易度選択を用意するなら、「作者の想定難易度」の明記があると嬉しいです

ここからは敵の強さを難易度ごとに分けるタイプの話。何だかんだでこれが良いという場合もあるかとは思います。「作者の当初想定したゲームバランスでは飽き足りない人に向けたサービス」をやる場合はこっちが定番かもしれませんね。

この方式で難易度を分ける際、救済措置にしてもサービスにしても、最初から複数の難易度を並行で管理しながらゲームを作るというよりは、まず1つの難易度でバランスを取り、そこから上げるなり下げるなりしていくんじゃないかなと想像しています。

そして最終的に作品として世に出す時、各難易度には「その難易度における各種パラメーター等の変化(敵のステータス0.8倍、取得経験値2倍など)」や「ターゲットプレイヤー(RPGに慣れている人向け、ストーリーを追いたい人向けなど)」といった説明を付ける形になるかと思いますが……自分としてはここで一番欲しい情報は「制作時にバランスを取った難易度」です。理由はまあ、それの難易度が一番面白そうかなと思うからです。

よくあると思われるパターンとして、「まずこのくらいかなと思って作ったけどこれだと普通の人はクリアできなさそうなので少し下げた、下げた方がノーマルで元の難易度はハード」みたいのがあるかと思います。この場合だと自分はハードでプレイしたいなと。とはいえ「バランスはノーマルで取った、ハードはオマケ的に付けたものでバランス調整してません」みたいな場合もあるので(この場合は悩ましいけど、まあノーマルでプレイするかなあ)、必ずしも上の難易度を選択すればいいというわけではなく……。作者さんがサービス精神旺盛で、難易度を3つとか4つとか用意されている場合などにも指針として、言うなれば「オリジン」の難易度が知りたいですね。

最近体験した例としては、「Artificial Providence 1」(窓の杜の紹介記事)のダウンロードページにある「HARDが本来の想定難易度ですが、かなり難しいので選択時にはご注意ください」という記載がとても親切で良かったです(当然HARDを選択しました)。逆に、難易度ノーマルとハードがあり、自分にとってはどちらにすべきか確定できる情報がなかったためひとまずノーマルでプレイしたところ、ちょっとぬるかったかな~と思ったら、のちに作者さんのご発言により本来の想定難易度はハードであったと知るという悲しい出来事もありました(そのゲームは現在では、プレイヤーが自分に合った難易度を選ぶための情報が補強されています)。

こういう難易度選択はちょっと苦手

やたらいっぱいある

  • 本来の想定難易度+それだと玄人向けになりすぎてしまうので一般向けを加えて2つ(とてもよいと思います)
  • 本来の想定難易度の上と下に1つずつで計3つ(大変妥当だと思います)
  • 本らの想定難易度の下と、さらにもう1つ下で計3つ(今時はそのくらい配慮した方がいいかもしれませんね……)
  • 上記の合わせ技的な感じで4つ

……このあたりまでだとまあ普通かなという感じですが、それ以上、5個を越えて来ると「親切だな」という気持ちよりは「ちゃんとバランス取れてるのかな……?」という心配が先に出てくる感じです。プレイヤーの要望に合わせて、無理ゲー的な難易度が追加されていく(この場合、最上位難易度はバランスを取っていない投げっぱなしみたいのも、まあアリかと)みたいな例もあるので一概には言えませんが。

プレイ中、ノーペナルティで自由に上げ下げできる

個人的なこだわりかもしれませんが、「難しい所でいったん下げてその後また戻す」みたいなことをあんまり気軽にできてしまうと、もはやゲームプレイの一貫性(説明すると長くなりそうな上にうまく伝わるか微妙なので詳細割愛しますが、ざっくりとしたニュアンスは伝わるかしらん……?)が失われてしまうような気がしてしまいます。前述の「プレイログに残らない一時的難易度低下」と同様、ソロプレイで競技要素がなければ失われて問題ないのでは?という話もあるかとは思いますが。

一度決めたら途中で一切変えられない、というのも怖さはありますが、変更は下げる方向にだけ可能、あたりが妥当でしょうか。ただゲームプレイの一貫性というのを考えると、自分だったら難易度を変えるなら、最初から改めてやり直すかもしれません。

終わりに

ここまで言っておいてなんですが、自分は「RPGならうまくやれる」という半端なプライドがあるせいで、救済措置的な難易度が用意されていても「情けは受けねぇ……」となってしまいそれを選べないことが多いです。あまり大きな声では言えませんが、「難易度を下げる」か「ゲームの継続を諦める」かという選択になった場合、後者を選ぶことも少なくはありません。(「RPGにおいて、救済措置的な難易度でプレイした」という事実が自分のRPGプレイヤーとしての経歴に傷をつけてしまうことを忌避するというか……。)

アクションゲームとか、自分が得意ではないと素直に認められているジャンルなら救済措置的な難易度を選ぶことに抵抗は全く無いので、結局この辺は人それぞれ、得意ジャンル次第とかなんだろうなあとは思います。

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