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「アスクギアFC」感想メモ ~稲穂スタジオの最新作はより取っつきやすく、より王道に。――されどその牙は健在なり!

「アスクギアFC」感想メモ ~稲穂スタジオの最新作はより取っつきやすく、より王道に。――されどその牙は健在なり!

稲穂スタジオが開発中の長編RPG「アスクギア」の前編を収録した「アスクギアFC」をクリアしました。先行試遊版といった位置付けの作品ですが、FCの内容だけで長編RPG1本遊んだ!と思えるくらいのボリュームと遊び応えがあり、これでまだ前編ってどういうこと……!?と戦慄しています。そんなわけで感想メモなど。思うがままに書いてたら1万字超えてたので長文注意的な。

「極まった作り」でファン(わたくしとか)を魅了した稲穂スタジオによる、より幅広いプレイヤーに向けてチューニングされた(ように感じる)最新作

わたくしは稲穂スタジオのWindows処女作「Princess Saviour(プリンセンスセイバー、通称プバー)」の体験版をプレイして以来、稲穂スタジオ作品のゲームデザインとストーリーに惚れ込んでおります。その辺の話は以下の記事あたりにて。

記事にも書いたように、これまでの2作品は独自要素が豊富でカスタマイズ性が極まっている、尖ったゲームデザインが魅力なのですが、それゆえ若干RPG熟練者向けなのも事実。また、特に「Princess Saviour」については、シナリオもなかなか尖った部分があり、(自分自身はその尖り具合も含めて大ファンなのであまり実感はないのですが)どうやら若干、賛否両論あるようです。

新作「アスクギア」ではこのあたり、かなり万人向けに仕上げてきた印象です。もちろん持ち味が消えてしまうほど温くはなっていないとは思いますが。ちょうど先日、稲穂スタジオ作品の開発ツールでもある「WOLF RPGエディター」の開発者であるSmokingWOLFさんの開発日誌でゲーム制作における「好み」と「配慮」の比率という話があり興味深かったのですが、この「配慮」の比率が上がったのかな、みたいな。

もう少し具体的に書くとこんな感じです。

  • 「Princess Saviour」の物語は、非常に大雑把に言えば「大切なものを守るために、他の大切なものを切り捨てて、斬り捨てていく物語」でした。かつての友と、慕ってくれた少女と、命を賭して戦わなければならない宿命。その切なさ、侘しさをこそ私は愛しましたが、(とくに自分でキャラクターを操作するゲームにおいては)人を選ぶ内容ではあったかもしれません。また、「Princess Saviour」はシナリオに1つ大仕掛けがあり、すべてが明らかになると「おお!」となりますが、その仕掛けゆえ途中で時系列に矛盾を感じてしまう面があるなど(後から振り返ってみれば、それも仕掛けのうちで大納得はあるのですが)、やや玄人向けの物語構造となっていたのかもしれません。
    • →「アスクギア」の物語は、あくまで前編を終えた時点での印象ですが「失ったものを取り戻すため、何もかもを諦めない物語」といったところでしょうか。「何か」を取り戻すため旅をしている少年と謎の少女の出逢いから始まるボーイ・ミーツ・ガールであり、ときにはかつての敵とも手を取り合える展開もあり、非常に王道で、多くの人に共感されやすいシナリオではないかと感じました。設定面も、もちろん世界観に込められた謎など興味を惹く部分も十分にありつつ、「今、何のために動いているのか」というのはシンプルで明解であると思います。
  • 「Princess Saviour」や「Another Saviour」はキャラクターカスタマイズの自由度が非常に高く、さまざまな戦闘スタイルや豊富に用意されたユニークなアクティブ・パッシブスキルの数々を、どのキャラクターも自由にセットすることができました(「Princess Saviour」は一部固有スタイル・スキルあり)。これにより無限の戦術が生まれましたが、逆に言えば1から自分で戦術を構築する必要がありました。
    • →「アスクギア」ではスキルはキャラクター毎に固定になりました。従来のスキルカスタマイズに相当する要素としては、ユニークな効果を持つ装飾品がパッシブスキルの代わりになっている感じかな。またもう1点、フォーメーションというシンプルながら奥深いカスタマイズ要素が追加されていましたが、それについては後述。
  • 「Princess Saviour」や「Another Saviour」の属性システムは、単純に敵の属性を突けば大ダメージといったものではなく、ターン経過で変異していく「場の属性」の把握が重要で、とくに「Another Saviour」では「すべてのスキルに属性があり」「場の属性とスキルの属性が一致したタイミングで敵の弱点属性を突くと大ダメージ」と、タイミングなどをしっかり見極めてうまく戦術がハマると熱い!のですが、逆に言えばしっかり考えないとなかなかダメージが通らないこともある、とも言えます。このように把握すべき要素の多いシステムでした(個人的にはそれがよいのですが!)。
    • →「アスクギア」では場の属性の概念はなくなり、弱点属性の突き方はオーソドックスでシンプルな形に。ほかにも多くの要素が、「うまいこと活用すればプレイヤー側が有利に立ち回れて爽快感抜群」という方向で纏め上げられているように感じました。

そんなわけで、「Princess Saviour」や「Another Saviour」を触ってみて、なんか面白そうなんだけど話についていけなかったとか、システムが複雑すぎて詰んだ……といった方にこそ、「アスクギア」は触れてみてほしい作品だと感じたりもしました。

さておき、このあたりを踏まえつつ、「アスクギアFC」の面白かった所などを語っていこうかなと。

ボーイ・ミーツ・ガールから始まる王道ストーリーと、地に足のついた魅力的なキャラクター達

繰り返しになりますが今回のストーリーは超ド王道です。少年主人公が遺跡の奥に眠っていた謎の少女と出逢い、そこから始まる冒険!少女の不思議な能力により力を手にする少年!深まる謎!暗躍する組織!ぶつかり合う正義!これが日本のRPGだ!!いやーもう最高です。また、前述の通り主人公達のもともとの旅の目的として「失ったものを取り戻す」というものがあり、このあたりもセンチメンタルで胸が熱くなる展開が待ち受けていたりします。

遺跡の奥に眠っていた謎の少女ミイナ。彼女の能力により、求めていたアスクギアに今、手が届く――

また、ただ激アツなだけでなく、複数の勢力が絡み合う展開、世界の謎といった情報が明かされていくタイミングなど、長編RPGのゲームシナリオとして非常にプロットが練られた、完成度の高いものだと感じています(もちろんまだ前半までなので最終的な評価はできませんが)。稲穂スタジオのなすーさん、最近はマップ制作の凄い人として注目を集めてる感がありますし(実際マップも凄い)、ゲームデザインの面でも定評のある方かと思いますが、実はシナリオライターとしても一流なのでは……!?と今更ながら思ったりしました。いや、もちろん前作までのシナリオも大好きなのですが、尖っていた部分が王道方面に寄ったことで一般的な基準で改めて判断してみたら気付いた、みたいな。

キャラクターも魅力的。ミイナは天然素直でめちゃんこ可愛いし、メモリアさんは「先生」やってるときとへっぽこな時のギャップが可愛いし、あと格好いいおっさんもいっぱいいます。なすーさんのTwitterでのキャラ紹介が参考になると思うので貼っておきます。

その中でも、個人的にめっちゃファンになったのは姫騎士エスティアさんです。PVの「姫だからと侮らないで」という台詞から、典型的な姫騎士キャラ(やや高圧、高潔、etc.)を想像していたのですが実際は全然違いました(PVの台詞は戦闘ボイスでした)。結構柔軟かつ頭の切れるお方で騎士団副団長としての実務能力は高く剣士としても一流、それでいてちょっとお茶目なところもあったり、結構サバサバしてたり、もちろん国を想う心はまさしく本物だったりと、何というか人間として尊敬できる人。騎士団の幹部級メンバーも「エスティアを尊敬しつつハッキリと意見具申できる人」みたいのが揃っていてその関係性も含め、「……格好いいなァ……」と思うのです。

台詞がまたね、いちいちかっけーんですよ……

パーティメンバー同士の会話も、メインシナリオ上はもちろん、街や、ダンジョンのセーブポイントなどでの雑談的な会話もあり、掛け合いが楽しく、またキャラクターのさまざまな面が描かれており、充実した内容でした。キャラクターの普段の生活ぶりなんかが覗えるようなシーンも結構あり(食事シーンが充実しているのもその辺狙ってる感じなのかなとか)、何というか地に足がついている印象です。

個人的に理想 of 理想な「ザコ戦全スルー派でも気持ちよくザコ戦ができる」エンカウント方式

自分はRPGにおいて可能な限りザコ戦をスルーする派なのですが、稲穂スタジオ作品のエンカウントまわりの仕様は、そんな自分でも気持ちよくザコ戦ができる、「戦闘を極力回避しつつ、身に降りかかる火の粉は払っていく」というロールプレイを楽しめる作りで非常に好ましく思っています。このあたり、「アスクギアFC」でさらに洗練された印象です。

  • エンカウント方式はシンボルエンカウント。その上で、ONにしている間は敵シンボルが停止し接触判定がなくなる「エンカウントキャンセル」という仕組みがある。エンカウントキャンセルはONにしている間リアルタイムにゲージが増え続け、フルになると使えなくなるのでこまめなON/OFFでゲージ節約も大事。(この辺りは従来通り)
  • エンカウントシンボルは、ゆっくり動いたり、もの凄い勢いで追い掛けてきたり、画面外からスーッと寄ってきたり、滅茶苦茶な動きをしていたりと千差万別。この辺は以前からもある要素ではありますが、敵配置などの作り込みがさらに洗練された印象です。忍び寄ってくるような敵にエンカウントキャンセルが間に合わなかったり、ここなら大丈夫かな……?とエンカウントキャンセルをOFFにした瞬間思いっきり詰め寄られたりと、戦闘回避の駆け引きが楽しい感じでした。
  • いざ戦闘に突入すると「逃げる」コマンドはない(使うと戦闘から逃げられるアイテムはあるけど数は潤沢ではない)。逃走不可とそれだけ聞くとネガティブなイメージもありますが、戦闘を避ける手段が十分に用意されていた上でなら、自分のプレイの結果として発生した「避けがたい戦い」であり、納得感があります。
  • ここまではザコ戦の話ですが、それとは別に各ダンジョンには数体、UMAと呼ばれる特殊な強いモンスターが徘徊しており、倒すことで特殊なアイテムなどを入手できます。UMAのシンボルは他の敵より大きく色も違うと一目で区別が付くようになっており、ひたすらザコを避けつつ、UMAには突撃というメリハリのあるプレイが楽しめます。「手配魔獣を倒して路銀稼ぎ」という設定があり、先を急ぐような状況でも敢えて足を止めて戦う理由付けになっているのも「先を急ぐ状況なら徹底的に戦闘を避けるのがロールプレイとして自然では?」派としても有り難いところです。
通常のザコ(青いシンボル)を徹底的に避けつつUMA(赤いシンボル)を倒していく、メリハリのあるダンジョン探索が楽しい

敵を避けつつ先へ進んだり宝箱からアイテムをゲットしていくのが面白いし、敵に捕まったら捕まったで戦うことに納得感があり、その上もちろんバトルも楽しい。加えて自らの意志で強敵に挑み倒していくのも面白い……。何というかもう完全に隙がなく、ダンジョンを探索している時間すべてに楽しさしかないのです。

シンプルに纏まった(※あくまで過去作比であって遊び応えは十分)戦闘システムと、さまざまな特殊状況が生み出す戦術性

前述の通り、「アスクギアFC」は過去作より戦闘システムが比較的シンプルに、オーソドックス寄りに纏まっている印象です。

  • 基本は前衛メンバー3人のCTB。大まかな画面構成なども含めこのあたりは過去作を踏襲。
  • 通常攻撃(MP回復手段でもありそれなりに重要)のほかキャラごとのスキルを駆使して戦う。スキルは最初は各キャラ2つ程度、FC終了時点でも4つ程度と少なめ。ただしスキルには「ダメージを与えると同時に、次の物理攻撃の効果をアップ」「敵の魔法防御力を下げる物理攻撃」など付加効果があるものが多く、スキル同士のシナジーや、他のキャラクターとの連携なども楽しい戦闘になっています。いわゆる「死にスキル」が無い感じで1つ1つのスキルに活躍の機会があるので「スキルが少なくてつまらない」という印象は全くありません。
    • スキルで消費するMPはおおむね1~3程度、MPの最大値も1桁から10台後半程度と、値が小さめなのもポイント。リソース管理が捗ります。
  • 戦闘中の行動でカウントダウンされていく「FP」が0になると「アクセラレイト」が発生。アクセラレイト中は事前のセッティングに応じたさまざまな効能などがあり、また敵の行動に割り込みをかける「ディレクト」が1回使用可能になる。敵の行動の直前に割り込みをかけてその敵を攻撃すると行動を1回分遅らせることができ、さらに敵は気絶状態となって続く攻撃は「クリティカル」としてダメージにボーナスが付く。この辺がめちゃくちゃ強力で、使いこなせばボスも一気にボコれる爽快感があります。
  • 属性は3種類あり、キャラクターごとにスキルの属性が固定。敵によって特定属性が弱点・耐性ありといった要素はオーソドックスなものですが、加えて「EAの蓄積と解放」という要素があります。これは敵をスキルで攻撃すると属性ごとにダメージの半分が「EA」という値として蓄積されていき(EAの値は1つの属性ごとに、一番大きかったダメージで上書き。累積はしない)、3属性すべてのEAが蓄積された状態で、さらにスキルで攻撃すると蓄積されたEAが「解放」されて追加ダメージとなるというもの。……言葉で説明するとややこしいのですが、要するにスキルの属性が違う3人で敵を集中攻撃すればいい感じに追加ダメージが出るというものです。EAをより多く蓄積するスキルなどもあったりと大ダメージを追求する要素もありますが、普通にプレイしていても十分、大ダメージを狙えて爽快な要素です。
アクセラレイトからのディレクトで敵をピヨらせてクリティカル+EA解放+弱点攻撃で大ダメージ!爽っっ快!!

アクセラレイトもEA解放も、計算して狙って……というものではなく普通にプレイしていれば自然と発生するので(ディレクトは任意発動ですが、アクセラレイト中はいつでも発動可能と直感的)、気軽に気持ちよく戦えるバトルデザインと感じました。それではプレイヤー側が一方的に敵をボコれるヌルゲーかといえばもちろんそんなことはなく……肝は「豊富に用意された特殊なシチュエーション」にあると感じています。

ボスやUMAはもちろんザコ戦でも、さまざまな特殊能力を持つ敵が登場。他の敵をかばう「ディフェンダー」あたりは定番ですが、ダメージが軽減される代わりにEA蓄積量は2倍になる「鉄獣」といった本作のシステムと絡んだものなども。特に「これはやべえ」と思ったのが「大軍」で、モンスターの数に応じて攻撃力と魔力が、2匹なら2倍、3匹なら3倍と増えていきます。それでいて結構な数が一度に出てきたりして、とにかく急いで各個撃破せねば!となるのがアツかったり。ちなみに敵が持っている特殊能力の効果は最初にその特殊能力を持つ敵が現れた時に解説が表示されるほか、戦闘中に随時確認する方法もあるので「この特殊能力って効果なんだっけ」となっても安心です(このあたりは状態異常なども同様)。

さまざまなシチュエーションに対処していくのが楽しい

全体的な戦闘バランスとしては、ザコ戦は「弱点属性を突けば範囲攻撃でグループごと一掃できる場合も多く全般的にはサクサク」でありつつ「時々なんかヤバいのが居る」といった感じで緩急が付いており、メインシナリオ上のボス戦は「ちょいちょいピンチになりつつもおおむね安定して撃破」、一部のUMAは「死力を尽くし、戦闘不能者を出しつつギリギリ撃破」といった感じで絶妙なバランスでした。

そのほか戦闘システムとしては、特定のスキルを使用するには1ターンかけて「溜め」が必要となる「チャージ」などもあり要素は結構豊富。元がめっちゃ尖っていたのが「比較的」シンプルになった結果「結構システムが凝ってるゲーム」程度になった、という感じでしょうか。個々の要素は見たことがあるようなものも多く、前作までのように「こんな変態システム見たことねー!」とまではなりませんが、個々の要素がしっかり練られており、またその組み合わせも噛み合っており、まとまりがよく完成度の高いシステムに仕上がっている印象。要素の取捨選択も含め、1つ1つのシステムの存在意義まで深く考えて作られているのではないかと感じました。

「手軽なHP回復手段がない」のもポイントかな。HP回復スキルはチャージが必要なため連発は不可能。回復などのアイテムは各キャラクターごとに用意されたスロット(スロット数は増やしていけますがFCの範囲では3~4個程度かな)にセットして使い、使ったアイテムを戦闘中にスロットへ再補充したければ1ターンかけてリロードが必要と、回復頼りの持久戦という概念は基本的にありません。

一方で敵の攻撃も結構激しいので、回復アイテムを使い惜しんでいる場合ではなく、使うタイミングを見極めるのも結構アツかったり。回復アイテムの所持総数も比較的低めのため、(それなりにRPGのプレイに自身があり、多くのゲームで回復アイテムを余らせまくるタイプの自分でも)かなりカツカツで緊張感ありました。また、アイテム利用後はそのまま別の行動ができる(アイテム使用だけでターンを消費しない)ため、攻めるか回復するかの選択は不要。攻め重視で戦える感じです。また傾向として被ダメージも結構高めで、総じて勝つにしても負けるにしても決着は付きやすい感じでした。

シンプルながら奥深いカスタマイズ要素になりそうな「フォーメーション」

そんな感じで戦闘めっちゃ面白いのですが、自分だけの戦術を組もう!みたいな要素は今作では控え目かな~と思っていました(前述の装飾品や、パーティ共有のリソースであるSPを消費して任意のスキルを強化する要素などはありますが)。

が、FC終盤でパーティメンバーが6人になった所で「今回のカスタマイズ要素はここか!」と思った次第。前述の通り前線(戦闘に直接参加する)メンバーは3人で、パーティが4人以上の時は戦闘中に入れ替えが可能です。ただしこの入れ替え、任意の前衛と後衛を入れ替える、という形ではなく、前衛と後衛をセットで編成し、その二人の間でのみ入れ替えが可能というもの。逆に言えば「コンビを組んだ二人が同時に前線に出ることはない」わけで、キャラクター同士の連携を考えるときに、これを考慮する必要があります。

この画像では4人ですが、6人になると組み合わせの幅がかなり広がります

また、キャラクターごとに設定されたスキルの属性もポイント。EA解放を狙うなら3属性が同時に前線に立てるように散らす必要があるし、敵の弱点属性を集中攻撃できるよう、特定属性のキャラを同時に前線に出せるよう編成するというのもアリかも、とか。もちろんステータスのバランスなども検討対象となり(特にCTBなので行動速度が遅いキャラばかりだと回転が悪くなったり……)、どんな風に編成するかがなかなか悩ましく、楽しい感じです。

ほかにも、入れ替え時は後衛が前に出つつ攻撃できたり、この際のダメージは前衛のHPが低いほど増加したり、前衛が回復アイテムを自分に使うと後衛もその効果を半分得られたり……と、交替を駆使してピンチを切り抜けたりしていくのが楽しい感じで、まさに総力戦という趣がありました。

とはいえ、6人パーティ化はFCのほんとに終盤なので、この辺を本格的に追求するのは後編に入ってからかなーという感じです。たのしみ!

プレイアビリティの塊のような作品――その裏に潜む深い沼。ハマるかはプレイヤーの自由

とまあそんな感じで、もともとあった煩雑な要素を排する仕組み(よく使うようなアイテムの支給制とかレベルはキャラ個別でなくパーティに対して存在するとか)なども含め、非常にプレイしやすく、万人に受け入れられやすい作品に仕上がっていると思います。……だがもちろん、それだけで終わる稲穂スタジオ作品ではないのだ……。

稲穂スタジオ作品の特徴として「そこまでやる!?」という作り込みが挙げられます。最近ではマップ部分が注目を浴びていますが、もう一つ「オマケ的なテキストの圧倒的な量」。このあたりは従来を踏襲というか、さらに磨きがかかっているというか。

まず筆頭に挙げられるのがエンサイクロペディア。用語集的なものですね。世界観に凝ったRPGなんかだと結構あったりはしますが……稲穂スタジオ作品はその項目数がやばい。「アスクギア」でも前編であるFCの時点で300項目を越えています。やばい。内容はゲーム進行に応じて増えていき、1つの用語についての解説が10項目を越えることもままあります。やばい!

内容は作中世界の人名や組織や専門用語(このあたりは定番かな)から、地名(その土地の由来や文化など)、さらにはスキル(どういう技なのかの設定が語られる)や武器・防具(それぞれにまつわる逸話など)などなど。「おでん」「寿司」など登場した食物の項目まであるという充実ぶりです。

エンサイクロペディア、プロローグを終えて1章に入ったところでもう50項目越えてて「相変わらずだぁ……!」とニコニコしていました

作中の書籍という点では、本棚の本も、調べると読むことができます(1つの本棚につき1冊)。これまた1冊ごとの情報量が結構多いし、1つの街に本棚がある数もそれなりだったり。他には、戦った魔獣の解説が読める魔獣図鑑もあります。ステータス等が見られる攻略的なものではなく、生態とかが記された資料です。

すべての本棚には必ず読める本があります(の、はず)。内容は世界観の理解に役立つものから、ネタっぽいものまで様々

このあたり、読んでいなくても作品理解には全く問題ありません。シナリオを進めていれば自然とわかる話(のもっと詳細な内容)や、いわゆる裏設定的なものが大量に込められており、テンポよくゲームを進めたいなら、スルーしてもよいかと思います。設定資料集とか読むのが好きな人向け。

……で、わたくしは好きな人なので読みふけるわけですが、これが大変面白い。面白いのですが本当に量が凄いので(辞典系はある程度溜めてからまとめて読んでいましたが)正直なところ、「辞典読みたいけど話の続きも気になる……」というジレンマが発生することもありました。「アスクギアFC」の公称プレイ時間は「10時間以上」とありますが、わたくしプレイ時間が30時間を超えております。もともとRPGのプレイは普通の人より1.5~2倍かかるのが相場なのですが、今回は加えて辞典系と本のテキストを熟読するのに累計で10時間くらいは使ってるんじゃないかなぁ……。

加えて、マップ上の色々なものを調べたときに説明と共に反応のコメントがあります。街の中では先頭キャラクター(画面上に表示されるキャラクター)が固定なので1種類ですが、ダンジョンではなんと全員分の反応が……。わざわざテキストを用意するのも大変だと思いますが、キャラクターを切り替えつつ全員分見る(時には敵から逃げながら!)のもちょっと大変。でも人それぞれの反応、という感じで面白いので見てしまうのです……。

そんなわけでこの辺のテキストまわりは、プレイスタイルやお時間の余裕に応じて堪能したりしなかったりするのがよろしいかと思います。辞典系なんかは気になる項目だけ摘まみ読みなんてのもアリかもしれませんね!

――僕は沼の底まで付き合うことに決めました。惚れた弱みよ……。

他に「相変わらずはっちゃけてるな!」という点としては一部の結構イッちゃってる敵や(それでも、「Princess Saviour」に比べると少々控え目……?)ヘンテコな生き物なども健在でした。

ネコ?ヒト?ていうか、えっと、……なに?

自主制作JRPGの金字塔たり得る作品。完成期待!

そんなわけで、前編の時点でむちゃくちゃ面白く、またクオリティの高さや作り込みを感じた「アスクギア」ですが、その後「WOLF RPGエディター」のワイド画面対応に伴いゲーム画面のワイド化が発表されるなど、完成版ではさらなるクオリティアップが期待でき、リリースが本当に楽しみです。

個人的にはこのこのクオリティを維持したまま後編まで完成したら、自主制作の、スタンダードなタイプのJRPG(ここではキャラクター性を前面に押し出した、ストーリー主導でおおむね一本道の作品といった意味合いで呼称しています)において金字塔の一つとなり得る作品になるのではないかと感じています。ゲームとしてのパッケージングがしっかりしており、ボリュームも(ここまでで約半分と考えるなら)コンシューマのフルプライス1本分に相当しそうな予感。作者さんによると「メインターゲットはPS1~2の頃のRPGが好きな人」とのことですが、実際その頃の商業作品と比較しても遜色ない内容になっていると思います。その上でUIやプレイアビリティは今風なので、手触りとしては「PS1作品のVitaリメイク」ってところでしょうか。

全くなんのあてもないただの1ファンの妄想ですが、個人的にはコンシューマ化されてほしい作品。わたくし、同人には同人だからこその良さがあると思っているので滅多にこんなことは言わないのですが、この作品に関して言えばPCゲームをプレイする層に限らず、コンシューマ的なJRPGが好きな多くの人に触れてほしいと思うので。また、日本のRPGが好きな世界中の人に触れてほしいのでSteamで海外版とか出てほしいなぁとも思ったり。テキストが多くて翻訳大変そうですが……まあ流石に辞典系は諦めてメインシナリオだけ英語化とか?

……などと先々に思いを馳せてしまいましたが、「アスクギアFC」もまだ購入できます! FCから完成版へのデータ引き継ぎが可能になるかはまだはっきりとしないため(どちらにせよ私は改めて最初からプレイするつもりですが)今からFCをプレイしよう!とはなかなか言いにくいのですが、何と今FCを1,000円で買っておけば2,000円で頒布予定の完成版に無料アップデートできるのでお得!完成版の先行予約のつもりで購入して、ついでにどんなものか軽く見ておく、なんてのもありではないでしょうか。もちろんそのままハマって最後までプレイしてももいいのよ……?

とまあ、最後はちょっと宣伝っぽくなってしまいましたが、あとめっちゃ長くなってしまいましたが、ほとばしる想いを遠慮無しにぶつけたらこんな感じになりました。ひとまずここまで!

 

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