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【RPGゆるふわ語り】ランダム要素について ~シチュエーションを提示するランダム要素と結果を左右するランダム要素/命中率は不要か? など

【RPGゆるふわ語り】ランダム要素について ~シチュエーションを提示するランダム要素と結果を左右するランダム要素/命中率は不要か? など

RPGにまつわるさまざまな要素について、とりとめもなくゆるふわっと語っていくシリーズです。雑談なので示唆とか結論とかはないよ!今回はランダム要素(乱数、運要素)について。なお、RPGにおけるランダム要素は戦闘に限らず色々な場面に存在すると思いますが、今回は基本的に戦闘についての話です。なぜなら戦闘が好きだから……。

シチュエーションを提示するランダム要素と結果を左右するランダム要素

ひとくちにランダム要素といっても大きく分けて2つのタイプがあると思います。ひとつは「シチュエーションを提示するランダム要素」、たとえばカードバトルなら手札に配られるカードの内容とか。最近わたくしがめっちゃハマってるスマホRPG『メギド72』(紹介記事)ならキャラに配ることで行動を決める「フォトン」の出現の仕方とかですね。

もう一つは「結果を左右するランダム要素」。こちらは代表的なものとして攻撃の命中率や状態異常の成功率など。

「ランダム要素きらい」「乱数は敵」という人でも、前者に否定的な人はあまり居ないんじゃないでしょうか。そもそもそうして設えられたシチュエーションをもとにどう采配していくかというのがそうしたゲームのコア要素だと思いますので。

好き嫌いや必要性が議論になるのは、主に後者についてだと思います。とくに思考重視のゲームだと、ランダムにより設えられたシチュエーションをもとに思考するのは楽しいけど、思考した結果がランダムで大きく左右されるのは楽しくない(ことがままある)、という感じかな。

プラスを呼び寄せるための祈りとマイナスを回避するための祈り

この「結果を左右するランダム要素」についても、さらに2タイプに分類できると思います。

  • クリティカルやスキルの付加効果など、確率でなんかいいことが起こる(ポジティブ/プラス要素)
  • 命中率など、「できるのが普通」のことが確率で失敗する(ネガティブ/マイナス要素)

結果に確率判定が行われる場合に、期待する結果が来るよう「祈る」などとよく言いますが、プラスの効果が発生するように祈るのは素直に楽しく、ゲームを盛り上げる要素になっているのではないでしょうか(前提として、付加効果が発動しなくてもひとまずかけたコストに見合う最低限の効果はある、というのが条件になるとは思いますが)。最近だと『メギド72』で確率発動のユニークな付加効果を持つスキルが結構あり、戦闘を彩る要素としてかなり気に入っています。

一方、普通は当たるものである攻撃が当たらないというマイナスが発生しないよう祈るというのは、シチュエーション次第では面白くならないこともないですが(当たれば倒せるけど当たらないと詰む場面とか)日常的に発生するとやや疲弊してしまうかもしれません。

微妙な所なのが状態異常を付与する攻撃の類で、付加効果といえば付加効果なのですが、状態異常をかけることを主目的として使う場合は攻撃の命中率と同様の感触になるかもしれません。状態異常をかけるだけのスキルとかだと心情的には命中率と完全に同じ扱いになるかなと……。前述した『メギド72』のスキルの付加効果も、状態異常付与に関してはこちらに属する感じです。このあたりはやはり「確実に発生する十分に有用な効果+付加効果」の組み合わせが鉄板かもしれませんね。

シチュエーションを提示するランダム要素と結果を左右するランダム要素、の転換

前述の通りクリティカルというのは「結果を左右するランダム要素」のポピュラーな例ですが、最近これを「シチュエーションを提示するランダム要素」の方に落とし込んだゲームがあって面白かったのでご紹介。

『アンダーグラウンドヒーロー』(紹介記事)という作品では「いま攻撃するとクリティカルになる」というのが行動選択前にわかるようになっており(逆にその状態以外でクリティカルは発生しません)、クリティカルで追加効果が発揮されるスキルなどもあって、クリティカルが結果として発生するラッキーではなく戦術構築の材料となる前提条件という扱いです。この転換はなかなか新鮮でユニークに感じました。最近公開された同作者の新作『アムネジアヒーロー』にも同様の仕組みが引き継がれています。

『アンダーグラウンドヒーロー』の戦闘画面。キャラの顔の下にある「CRT」インジケーターが光った時に攻撃するとクリティカル発生

命中率は不要か?

さてここからは主に、「結果を左右するランダム要素」の筆頭とも言える命中率について語っていこうかと思います。

世の中には命中率不要論というのもありますが、私自身は「まずは命中率無しでシステムを構築して、命中率の概念を入れる理由があるなら追加すればよい」というスタンスです。

RPGの戦闘は最低限、HPと攻撃力だけあれば成立します。その上で「攻撃を当てたり外したりすることにランダム性を持たせる」ことが面白さに繋がると判断するなら命中率を入れればいいし、HPの大小だけで表現できない「打たれ強さ」の概念を表現したいといった理由で防御力を入れるのもよいでしょう。(さらには行動順をステータスで決めるなら素早さ……などと増えていくわけですが際限がないのでひとまずここでは話を絞ります。)

ただどちらも「何となく」で入れるくらいなら無い方がよいと思っています。要素が増えればそのぶん複雑になり、バランス調整も難しくなるので。そしてこの二つなら、命中率の方がより「入れることに慎重であってほしい要素」です。理由は「乱数が絡むのでバランス調整がより難しい」「プレイヤーにとって攻撃を外すのはデメリットなので納得のいく理由がないとストレスになる」といったところです。

まあこれはどっちかと言うと、初心者向けのRPG制作環境(主にRPGツクールを想定)において、デフォルトで命中率と防御力が存在するのを省いてもいいんじゃないかな~という話だったりするのですが。最初からあるので深く考えずに使う、という状況に繋がってしまってないかなと。まあ歴史的経緯などによりなかなか難しそうかなとは思いますが……。

さておき。前述の通り命中率の概念を入れて面白くなるなら全然アリ、要するにゲームデザイン次第という月並みな結論なのですが、せっかくなので自分が面白いと思った命中率の使い方をしている作品を紹介します。

命中率の制御が戦術の鍵となる『Artificial Providence 1』

自分がこれまでプレイしたRPGの中で一番、命中率の使い方が面白いと感じた作品が『Artificial Providence 1』です。キャラクターの持つ基本命中率とスキルごとの命中率、攻撃対象の回避率で最終的な命中率が決まるのですが、この最終的な命中率がターゲティング時に表示されます。

なかには回避率がやたら高い敵なども居るのですが、睡眠の状態異常(睡眠中は必中、ただし攻撃を受けると起きる)はかかりやすかったりといった何かしらの「穴」が用意されており、そこを付いていくという感じ。

命中率はさまざまな要因で変動し、ターゲティング時に最終的な命中率が明示される。クリティカル率も明示

また、本作の戦闘システムはゲージが溜まったユニットが随時行動する半リアルタイム型ですが、即時発動して続けて次の行動ができる自己強化スキルにより一時的に命中率を上げることができたりと、命中率を制御する要素が色々とあります。基本命中率はやや低めだけど、一定時間攻撃を必中化できる固有スキルを持つキャラも居たり。強力なスキルほど命中率が下がる傾向にあるのですが、必中化はそうした道理を無視できるのが痛快。本作のスキルは回数制なので、ここぞという場面で使用の判断をしていく感じです。

即時発動の自己強化スキルで命中率を上げることが可能
変化した命中率が数字で実感できるので戦術構築のしがいがあります

ポイントは、

  • 命中率をコントロールする手段が色々ある
  • 最終的な命中率がわかりやすく明示されている

といったところでしょうか。これらを前提とした敵の調整やギミックなども非常に練られています。命中率でRPGが面白くなるのか、懐疑的な人にこそぜひプレイしてみてほしいゲームです。以下の記事なども参考になればと。

ほかに最近印象に残った命中率の使い方は、『ざくざくアクターズ』(紹介記事)の某強敵戦かな。ネタバレに配慮して詳細は伏せますが、「当たれば最大HPの数倍のダメージを喰らうけど、命中率がかなり低い」攻撃を予告付きで繰り出してくるという。これを回避率アップのバフなどで凌いでいくのがアツい。これは攻撃を受ける側ですが、命中率という概念があるからこその面白さだと思います。

いろいろな命中率

そのほかRPGへの命中率の概念の導入方法として、印象に残ったものをいくつか挙げてみたり。

普段は必中、状態異常で確率化

基本は必中だけど、「暗闇」の状態異常を受けると命中率50%での判定が発生する、みたいなやつ。これはそこそこ採用している作品をみかけますね。最近だと『メギド72』や『アムネジアヒーロー』がこれでした。『アムネジアヒーロー』は戦闘開始時に暗闇状態になる武器があって、武器の命中率の概念なしに「強力だけど当たりにくい武器」を表現していたのも面白かったです。

基本的なシステムはシンプルにしつつ、「攻撃が当たりにくい」という状況を(発生する場面をある程度コントロールしつつ)演出可能なので割と良い仕組みだと思います。

プレイヤー側だけに攻撃回避の概念がある

そもそも、RPGの戦闘って必ずしも味方側と敵側の条件が対称的とは限らないので、命中判定も対称的でなくてもいいよね、的な。印象に残っているのは『グレナサクリファイス』(紹介記事)や、最近だと『アムネジアヒーロー』も(暗闇でなければ)この仕様でした。

必中でない代わりに連続攻撃もある

片道勇者』で採用されている方式。攻撃が外れることもあるけど逆に連続攻撃が発生することもあり、ラッキーやアンラッキーに一喜一憂しつつ、(武器による変動もありますが基本的には)トータルでは命中率100%の場合と同等のダメージを期待できる、みたいな感じです。(これは私のざっくり理解でして、詳細は作者さんによる開発記である「片道勇者開発記」に掲載されています。)

ただこれを楽しい仕組みだと思えるのは、『片道勇者』がローグライクRPGであり、外しても即座に次のアクションが取れるからというのもありそうだなあと思ったり。……という話は次項にて。

命中率とストレスの関係は「再試行までのインターバルの長短」にあり?

命中率が嫌われる理由として「攻撃をミスしても結局次の機会に同じことをするだけなので、プレイヤーにデメリットがある割に駆け引きの面白さに寄与しない」というのがあるかと思いますが(実際は状況が変化するので必ずしもそうとは限りませんがそれはさておき)、前述のように駆け引きの面白さに繋がる命中率もあると思っています。

それでもなお、命中率の存在がストレスになるとしたらその境界はどこにあるのか……個人的には、再試行までのインターバル(攻撃の結果を受けて次のアクションを起こすまでの間)の長短にその鍵があると思います。以下、短い順に列挙してみたり。

アクションRPG

命中率の概念があるアクションRPGでミスしても、即座に攻撃し直せばいいだけなので再試行を意識するまでもないことが多いと思います。どっちかというと単位時間あたりのダメージ期待値を左右する感じかな。

ローグライクRPG

こちらが一動作すると敵も一動作するのが基本。囲まれていたりすると少しはかかりますが、それでも数秒の範疇でしょう。攻撃を外す要素が面白さを向上させているか?というと微妙なところですが(まあゲームデザイン次第)、ストレスを感じるほどではないと思います。

CTB・タイムライン型など敵味方が入り交じって行動するコマンドバトル

各キャラクターの行動頻度自体は高くはなくても、一人が外しても次に行動するキャラがそれを受けてどう対処するか、という流れになるので、それほどインターバルが長いとは感じないのではないかと思います。

ターン制のコマンドバトル

とくに複数人パーティの場合、複数人のコマンドをその行動順も加味しつつまとめて決定し、敵側の挙動も1ターン分先読みし……と、本来思考負荷がかなり高いシステムです。こうして組み立てた戦術が運次第で崩れ、また次のターンに仕切り直し……というのは、(しつこいようですがゲームデザイン次第ではあるのですが)まあちょいと辛いと感じる場面の方が多いかもしれません。

コマンドを選択したあと、その結果を見守る必要がある(ログが出るゲームとかもありますが)という点も含め、インターバルはやや長め。個人的にはこのあたりから、「命中率をうまく使ってゲームを面白くするんだ」という強い意図が無い限り、できれば命中率の概念を入れないほうがよいラインだと思います。

敵味方でフェイズが分かれているSRPG

えーっと、ここちょっと、いやだいぶ私情入っていると思いますが……。

そもそもほぼシミュレーションゲームの話なのでRPGの話題からはやや外れてしまうかもですが、ユニットの数が比較的多く、敵味方でフェイズが分かれているタイプのSRPGというのは各ユニットの行動のインターバルが長め。それでいて一番命中率の概念が導入されがち(しかも割と低めだったりする)なゲームでもあるんですが、正直「……なんで?(困惑)」という気持ちです。

移動の概念もあるから「このユニットがミスしたのでじゃあ代わりにこっちで」というのも手軽にできるものではなく、ミスしたら次の機会を分単位で待って、やることは攻撃し直すだけ、という場合が多かったり。「古典的名作が採用している」という歴史的経緯が大きいのかもしれませんが、個人的には命中率が必要かどうか、改めて今一度、一番考えていただきたいジャンルです……。

まあ確定要素だけではそれこそ詰め将棋になってしまうというのもわかるのですが、流石にこの再試行インターバルで0/1判定はなぁ。ランダム性を出すにしてもダメージの振れ幅とか色々あると思いますので何卒……。

ダメージの振れ幅って何のため?

そうそう、上述の通り、ダメージの振れ幅というのもランダム要素なんですよね。比較的小さい値(1桁~2桁程度)をやり取りするゲームの場合は、普通に戦術要素たり得るかと思います。たとえば斧はダメージ上限が高いけど下限も低くてダメージが安定しないとか。現在アルファ版が公開されている『片道勇者2』(関連記事)がこのタイプでした。

一方、数百~数千ダメージが普通に出るゲームの場合。下1~2桁程度がランダムに変動したりすることが多いですが、正直これ、戦術性においてほぼ意味ないですよね。では何のためにあるのか……個人的には演出のためだと思っています。まあ、雰囲気作りですね。

攻撃力や敵の防御力などから算出したダメージ値、これ自体は普通は固定値なわけですが、同じキャラが同じ敵を攻撃したら毎回同じ値では、いかにも「算出された値」っぽさが出て味気ないという意図でファジイ感を出していくという。攻撃のエフェクトを出したりSEを鳴らしたりするのと同列と考えています。

一方、雰囲気作りのために厳密な競技性を損なうのは如何なものか、という考えもあるとは思いますが、これは演出が競技性の領域に及ぶのをアリとするかという思想・哲学の領域であり、どちらが良いとか正しいとかという問題ではないかなと。ゲームコンセプトやターゲットに応じて判断していくものだと思います。


とくに総括とかは無いけど溜めてたネタはだいたい消化したから終わりだよ~

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コメント&トラックバック

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  1. ツクール製のRPG序盤の洞窟によく居るコウモリ。
    コウモリだし回比率と素早さが高くとなんとなくで設定されたステータスが、運が悪いと攻撃は全く当たらないし逃げられないという途方もないストレスメーカーに。

    ミスのストレスって戦闘が一切進行せずに一方的に殴られることなんですよね。
    ミスしても半分はダメージが入るとか、2回ミスすれば次は必ず当たるとか、ミスしても戦闘が進む要素は欲しいと思っています。

    • >コウモリだし回比率と素早さが高くとなんとなくで設定されたステータスが、運が悪いと攻撃は全く当たらないし逃げられないという途方もないストレスメーカーに。

      あるあるですねぇ。

      そうそう、とくにターン制の場合、「想定したダメージが完全に通る」と「何も起きない」の0/1判定なのが重すぎるんですよね。半分はダメージが入る、というのは一例として良いアイデアだと思いました。

  2. 乱数に泣かされることの多い自分としては、ヌーの解剖学、AnatomistTXのタイムライン上に固定配置されたクリティカルなどのパネルをうまいこと拾っていくシステムの、考えず動けば半ランダム、考えて動けば何かと有利になるところが、珍しく運を引き寄せることができた感があって気持ちよかったです。

Yujiro Nakamura への返信 コメントをキャンセル

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