- Another Saviour/稲穂スタジオ
本編自体は結構前にクリアしたRPG「Another Saviour(アナザーセイバー)」の、バージョン1.10以降で追加された要素をまだプレイしていなかったのでプレイしました。その中で、追加ダンジョン「怪獣監獄」が特に面白かったので感想というかプレイ記録など。クリア後要素ですが、ストーリーとは切り離されたダンジョンなのでストーリー的な意味でのネタバレはありません。
その前に、Another Saviourってどんなゲーム?
(以下、ちょっとおさらい、くらいのつもりが長くなってしまったので既に知ってる人は読み飛ばしてください……。)
「Another Saviour」は「Princess Saviour(プリンセスセイバー)」(弊ブログの紹介記事)の外伝的な作品です。以前窓の杜で書いた紹介記事も参考になればと。
シナリオやキャラクター、ビジュアル面なども魅力のある作品ですが、個人的な印象で端的に述べると何より「戦闘がむちゃくちゃ面白いRPG」です。CTBのコマンド選択型としては、自分がこれまで生きてきてプレイしたRPGの中で一番面白いと思っています。
戦闘に関する要素としては、ざっくりと以下のようなものがあります。
- 多数のアクティブ・パッシブスキルをスロットの範囲内で自由にセットして戦うスキルバトル。スロットは1スキル=1スロットではなく、強力なスキルは2~3スロット使うため枠内でのやり繰りに悩むのが楽しい。
- スキルはターン経過で増える“AP”を消費して利用。戦闘開始時は必ず初期値からとなる。スキル用のリソースを戦闘終了後も持ち越すという概念は一切ないため、遠慮せずスキルを使いまくれる。ちなみにHPも(戦闘不能も含め)戦闘終了後に全快、かつ戦闘不能でも経験値入手に影響はないタイプなので、一戦一戦に全力投球が可能。
- キャラクターごとに戦闘スタイルを5種類から選択。ステータスや習得できるスキルが変わるほか、スタイルごとの特殊な能力・システムも。他のスタイルのスキルもセットできるが、スロットを1つ余計に使うことになる。それでも敢えてこのスタイルのスキルを使いたい、という時もあるのが悩み所。
- HPのほかに“AFF”と呼ばれる魔力障壁があり、これを削りきるまではHPにダメージが通りにくい。AFFの厚さは「MP」の量で示される(一般的なRPGにおけるMPとは全く違う概念で、バリアゲージ的な位置付け)。物理攻撃は(AFFがあっても)HPを削りやすく、魔法攻撃はMPを削りやすいといった特性も。AFFがめっちゃ固いけどHP自体は低めなので無理にMPを削らず物理攻撃で倒しちゃうほうがよい、といった場面もあったり。
- 戦闘中の行動によってカウントダウンされていく“FP”が0になると“エミッション”が発動。再行動が可能になるほか、エミッション中の攻撃のダメージ増加、スキルの消費APが0に……など、あらかじめ設定しておいた“バッジ”に応じた特殊効果が発生する。ただし、バッジをセットするとカウントダウンの初期値が上がっていき(つまり、エミッションを起こせる頻度が下がる)、効果の高いバッジほど初期値の増加も大きい。
- アイテムはキャラクターごとにあらかじめセットした4つのみ使用可能。ターン消費せず使用できる。1ターンかけて補充することで(在庫があれば)再び使用可能な状態にすることもできる。
- いわゆる属性の概念があるが、結構独特。属性は火・水・風の3種類。
- 攻撃スキルに限らず、すべてのスキルには属性が設定されている。
- 場の属性というものが存在し、ターン経過で移り変わっていく。属性が変化するタイミングはキャラクターの行動順と合わせて表示される。
- 場の属性とスキルの属性が一致すると、攻撃スキルなら効果アップ、回復スキルなら効果の全体化などスキルの効果がアップする。
- 敵にも弱点属性があるが、場の属性とスキルの属性が一致したときのみ、弱点を突ける。
属性に関するゲームデザインが特に好みで、RPGにおける属性の扱いにおける一つの理想像だと思っています。ただひたすらに弱点を突くスキルだけ使っていればいい……とはならず、バフ・デバフも活用しつつ弱点を突けるタイミングにベストな一撃を放てるよう状況を御膳立てしていくという、「戦場の空気を読む」要素を属性で表現した感じかなあとか。場の属性を制御するスキルもあるので、戦場の流れをコントロールするような戦い方もできたり。
とかく要素が多く、複雑に感じるかもしれませんが、というかまあ実際複雑なんですが、敵の残りHP/MPはゲージ表示され、攻撃のターゲットにした時は予測ダメージの表示と共にゲージも変化。さらにその攻撃で倒しきれる場合は「Down」、弱点を突ける場合は「弱点」、AFFを破壊できる場合は「Break」と表示されるなどわかりやすい作り。また仕様上、同時にセットできるスキル自体それほど多くないので(パッシブスキルも活用するとアクティブは3~5個くらいが普通かな。支援タイプだともう少し多くなりがちですが)そもそもやるべき事に迷う場面があまりなく、UIの挙動も軽いため「選んだスキルで敵を倒せそうならそのままGO、ちょっと足りなければ別のスキルも試してみる」みたいな試行錯誤をサクサクやっていける感じです。
怪獣監獄ってこんなところ
前置きが長くなってしまいましたが。怪獣監獄は特殊なルールで踏破していくダンジョンです。
- 全50フロア、10フロアごとにボスが登場。
- アイテム、お金、スキル、バッジは本編と独立しており、何も持たない状態から始まる。
- アイテム(装備品および消費アイテム)とバッジはフロアに落ちているものを拾う。スキルは“UMA”と呼ばれるエンカウントシンボルが通常と違う強敵を倒すたびに1つ入手できる。いずれも何が入手できるかはランダム。
- 怪獣監獄内ではセーブ不可。ボスフロアでは0F(エントランス的なところ)と行き来できるので、セーブしたい場合はそこでいったん探索中断してダンジョンから出る感じで。
ポイントはスキル入手がランダムであること。UMAは基本的に1フロアに1体で復活もしないため、怪獣監獄全体で入手可能なスキルの数は決まっており、そしてそれは本作の全スキル数より少ないため、50Fまで到達しても普段愛用しているスキルが揃うとは限りません。入手できたスキルでやり繰りしていくため、自然とこれまでとは違うスキル構成を追求することになり、新鮮なプレイ感で楽しむことができました。
装備品や消費アイテムも含め、ランダムに入手できるものでやり繰りしていくのはローグライクっぽい感覚も。プレイする人によって全く違う攻略になっていくのも面白そうですね。というわけで以下、自分はこんな感じでした~的なプレイ記録など(やっと本題に辿り着いた……)。
1~10F:ゼロからの出発、そしてゴリラへ
スキルが全くない序盤は通常攻撃しかやることがなく、3FのUMA戦あたりから結構苦戦する感じ。で、ふと思ったのですが、とにかくまずは生き延びること優先ということで、全員のスタイルをバトルオーガに変えました。
バトルオーガはゴリラのスタイル。高いHPと攻撃力を誇ります。MPや、素早さにあたる“反応”のステータスが低かったりと多少の弱点はありますがそれを凌駕する生物としての圧倒的生存力。自分はCTBではとにかく回転を早くしてテクニカルに(少なくとも自分はそう思っているような戦い方で)戦うのが好きなので本編ではあまり使っていなかったスタイルですが、ここで役に立つとは……。
流石に10Fに到達する頃にはそれなりにアクティブスキルも揃ってきてキャラクターごとの役割分担などもできてきましたが、スタイルは引き続きバトルオーガでボスも無事撃破しました。
11~20F:聖女アルトワルツ、お手伝いお姉さんになる
プロテクト(魔法防御力的な位置付けの“抵抗”のステータス上昇)やレノベイション(いわゆるリジェネ系、ターン開始時にHPが12%回復)、プリンセスエール(次の行動だけ全ての能力が増加)、リヴァイヴ(戦闘不能から復活)と支援系スキルが揃ってきたので、誰か1人を支援役にしようかな……と思った頃には既にアルトワルツを支援役にしていました。スタイルは支援特化のアーネンエルベに。
本編でも、もっと言えば前作でもそうだったのですが、3人パーティで物理アタッカーと魔法アタッカー(向きのキャラクター)が居たら残り1人はどうしても支援に回ることになっちゃうんですよね……。かっこよく敵を薙ぎ倒す聖女アルトワルツ様も見てみたい気はするのですが。クリア後の追加シナリオで“歌姫”ロヴェリーズさんが「お手伝いお姉さん」なんて言われて複雑な心境に、なんて話がありましたが、うちのパーティだと聖女様がお手伝いお姉さんって感じです。恐れ多い……。
さておき、本編ではいわゆる普通のHP回復魔法であるところのヒールと両方セットする余裕がないためレノベイションは全然使ってなかったのですが、今回ヒールがこの時点で入手できていないため使ってみました。お、これ結構便利ですね。パーティ全体対象だし、行動回数が多ければどんどん回復できるのはCTBならではというか。また、「抵抗」のステータスに応じて回復魔法であるヒールの効果も下がってしまうという要素があるのですが、レノベイションは割合回復なのでこの影響を受けないのもよいです。あまり使ってなかったスキルの良さに気づけるのも怪獣監獄の面白いところかなー。
21~30F:スキル構成がだいたい固まる。リンネは魔法アサシンに
スキルが結構揃ってきて、優花さん(物理アタッカー)とリンネ(魔法アタッカー)のスキル構成も大体固まってきました。本編ではあまり使わなかった2つのスタイル、バトルオーガとアサシンギルドの有用な攻撃スキルがやたらと集まるのは偶然にしては出来すぎというか……。というわけで優花さんは引き続きバトルオーガ、リンネはアサシンギルドに。アサシンギルドはちょっとHPが低いのが不安ですがまあ何とかなるかなと。
31~49F:ちょっと気を抜くとやばい
そんな感じでスキルも揃って戦闘スタイルも確立してきたのですが、それに応じて、という感じで敵の方もなかなかヤバい感じに。
録画しながらプレイしていたのですがなかなかスリリングなシーンが撮れたので載せてみるなど。
グルーン3体との戦闘、敵が残り1体の所で全体攻撃を食らってこちらも優花さん一人に。戦闘不能からの復活手段はなくタイマンとなり、初めて全滅が頭をよぎりました。この状況になる直前にアルトワルツからHP自動回復をかけてもらっていたこと、エミッションが発動できるタイミングだったことなどが幸いして、またブーストも活用して(こうして行動回数が増えるたびにターン経過でHPが回復するのが頼もしい)何とかギリギリ倒せるか……?いやあと一発分足りない!というところでガッツ発動。これは現HP以上のダメージを受けたときに、「根性」のステータスの%分だけダメージを軽減できるというシステムで(1回軽減するたびに効果は半減していく)、バトルオーガはこの根性の値が高いのです。本当に色々な要素が重なって何とか生き延びたという……。めっちゃドキドキしましたし倒せたときはテンション上がりました。
ちなみに最後、通常攻撃でも倒せるのを確認しつつ敢えてスキルで倒していますが、この辺は何というか気持ちの問題です。ダメージ予測は信頼できるのでスキルを使う必要はないのですが、まあどうせ次の戦闘にAPを持ち越せるわけではないので出し惜しみなしで、みたいな……?
50F:怪獣監獄のボスに挑むが……
そんなこんなで50F到達。一度0Fに戻って準備を整えたのちボスに挑戦。スキル構成はこんな感じです。
50Fボス、強いことは強いけどバフで防御・抵抗上げ続けてればそこまで痛い攻撃は食らわないし結構安定して倒せちゃうかも~、などと思っていた時期が私にもありました……。
HPを半分以上削ったところで、ガードする暇もなく突如放たれる全体攻撃×3。全員、それなりにHPも残っていた状態からの一瞬で全滅。ポカーンとしながら画面を眺めていました……。
その後、「流石にこれ1回だけかな」と、何とか1回だけは耐えてみたのですが1回じゃなかった!根本的に発想転換の必要を感じました。
50F:対ボス最終編成
というわけで、最終的に到達した構成はこんな感じ。とにかく生存力重視でセッティングしました。ちなみに、気分転換を兼ねて別の戦闘系イベントをこなしてきたので、レベルも2つ上がっています。
というわけで、満を持して再挑戦。以下、数度にわたる全体攻撃3連続を必死で耐えている様子の動画を撮りましたのでご笑覧ください。長いので適当に飛ばすなり流し見するなりしていただければと。全体攻撃3連続の前にはサイレンのようなSEが鳴ります。YouTubeは右下のギア型ボタンから呼び出せる設定で再生速度を変えられるのでこちらのご活用もお勧めです。
こうして見返してみるとめっちゃあたふたしてるな自分……(笑)。さておき、そんなこんなで何とかかんとか、撃破しました!
いやー面白かった!アクティブスキルもだけど特にパッシブスキルにユニークなものがたくさんあるゲームなので、揃った手札をどう使うか考えるのが本当に楽しかったです。もう一回プレイしたらまた全然違う攻略になるんだろうなぁ……。怪獣監獄には全滅で進行状況がすべてリセットされるハードモードというのがあって、ちょっと悩んだけどさすがに難易度が読めなかったので初見では選ばなかったのですが、結局全滅したらリセットしてたので同じことでした。気が向いたらハードモードでもう1周してみようかなと。
これにて追加要素も終了!かと思ったらどうやらもう2、3つやり残しがあるようなので引き続きプレイしようと思います。
余談:そのほかのバージョン1.10追加要素の感想
まだプレイできていないものもありますがひとまず。
- 推理ロボマン:最初にこれやりました。お、結構絶妙なバランス……と思ったら最初の方だけだった!いやいやいや無理無理!……という体験が、まさに某追加エピソードへの感情移入を促進することになるとは……。登場人物達の言ってることに「わかる……」ってなりました。先にやっておいて正解かなと(笑)。とりあえず、全ステージプレイしましたよ(クリアしたとは言っていない)。
- 追加エピソード(セーブガジェット):どれも面白いですが、会議室で読めるものが特に「あり得たかもしれない1つの可能性」としてとても染みました。あ、でも
機動姫君 イリヤは正統派バトルヒロインものとして憧れがあったので某エピソードにはちょっと、いやかなり複雑な気持ちです。まあ、本作の世界観的に、あくまでパラレルであると都合よく解釈しています……。 - vsクーちゃん:わぁ、クーちゃん立ち絵かわいい!お父さんはリダクションかけ続けてほとんど行動させませんでした(えげつない)。
- vs横綱:アイテム使用はシステム上は封じられていませんが、ここで使うのは野暮でしょう、ということで自主的に封じました。バトルオーガで回復はハイパーダッシュ。迎撃の用意+雨水と逆鱗によるカウンター再行動も活用。
- 水着イベント:ありがとうございます本当にありがとうございます。
新作が来た!
そうこうしているうちに、稲穂スタジオさんの新作、「アスクギア」の前編「アスクギアFC」の情報やPVが出たので貼ってみたり。明日開催のデジゲー博2016で頒布されます。
TwitterにPVが流れてきたときは興奮のあまり思わず「ア・ス・ク・ギィィッ――ヴウゥワアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」とか絶叫ツイートしてしまいそうになったのですが、元ネタを知らない人が見て「なんか発狂してる……そういう人が好きなゲームなのかな」と風評被害を起こしてはいけないと自重しました。
という与太はさておき。相変わらず色々試しがいのありそうな戦闘システムに、描き込まれたキャラクタードットによるイベント、作り込まれたマップ、そしてアツいキャラクター達によるアツいストーリーを楽しめそうで今から本当に楽しみです。
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