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『英雄伝説 黎の軌跡』感想メモ ~シリーズのお約束を解体・再構築した「新機軸にして原点回帰」

『英雄伝説 黎の軌跡』感想メモ ~シリーズのお約束を解体・再構築した「新機軸にして原点回帰」

発売日にプレイ開始しておきながら色々あって結構かかっちゃいましたが、軌跡シリーズ最新作『英雄伝説 黎の軌跡』、クリアしました。

主人公や舞台を変えつつ、1つの世界観・1つの時代の大きな流れの中で物語を描いていく軌跡シリーズ。4作+αと長らく続いた帝国編から久々に舞台一新、また戦闘システムも刷新……ということで色々と楽しみにしていましたが、プレイした結果、シリーズのお約束として継承されていた要素も一部はばっさりカットされているなど、全体にわたり大幅に手を入れられていました。何しろ15年以上続いてるシリーズですからね。これまで割と、建て増し型の改良が多かった印象ですが、ここらがオーバーホールのタイミングだったんだろうなあと。

とはいえ、伝統的な要素をただ廃したわけではなく、むしろシリーズ初期作品を彷彿とさせるようなリファインもあり、「新しい」だけでなく「原点回帰」も感じる内容でした。

というわけで、その辺の話を軸に、いつものようにつらつらと感想など書いていこうかと~

オーブメントのカスタマイズシステムが一新、属性値の組み合わせ要素が復活!

いきなりそこ?って感じですが、個人的に象徴的だと感じたのと、ずっと期待していた改良で嬉しかったのでここからです。

世界観的にもシステム的にも軌跡シリーズの象徴とも言えるような存在であるオーブメント。さまざまな機能を持つクォーツを嵌めてキャラクターの能力をカスタマイズできる要素ですが、シリーズ初期作品にあった「クォーツに設定された属性値の組み合わせにより、使えるアーツが変化する」という要素が、『閃の軌跡』からなくなってしまった(アーツは基本的に、そのアーツを使えるようになるクォーツを嵌めるというシンプルな形になった)のが少し残念でした。能力アップと使えるアーツの両立を模索したり、一人に良いクォーツを集中させることで本来はもう少し先で使えるようになる想定っぽい強いアーツを使用可能にするといった、属性値の組み合わせパズルが面白かったので。

ただ、このシステムだとカスタマイズに凝らない人だといつまでも強力なアーツを使えない……といったことも起こり得るので、簡略化もやむなしかなーとは思っていたのですが……黎の軌跡ではこの辺が一新。アーツについては別途「アーツドライバ」をセットすることで使えるようにした上で、クォーツの属性値の組み合わせでパッシブスキルにあたる「シャードスキル」が発動という形に。

アーツはシンプルに使いたいものを選べるので必要なアーツが用意できなくて戦闘が立ち行かない、ということにはなりにくく、一方でシャードスキルという「あると有利だけど、戦闘の基本的な立ち回りにおいて必須ではない」要素はカスタマイズの自由度が高め。現代的なわかりやすさも確保した上で、属性値組み合わせパズルに頭を悩ませる「あの感覚」も再び!ということで、システム自体は完全リニューアルだけど原点回帰感もあるというのが非常によかったです。

特定属性の専用スロットは得られる属性値が2倍になるという、制限の代わりにリターンがあるという調整も憎いですね。複数属性の属性値を持つようなレアなクォーツは積極的に嵌めたくなったりしますし。

ちなみにシャードスキル発動に必要な属性値のリストは、発売当時はゲーム内に存在しなかったのですがアップデートで実装されました。この情報がオープンなデータとしてゲーム内に存在するのも初期作品同様ですね。クォーツをセットすると「あとはこの属性値があればこのシャードスキルが使えるようになるよ」というお勧めみたいのは出てくるので手探りで構築していくのも悪くはありませんでしたが、やはり「このスキルを使いたい」と目標を定めてセッティングしてく方が好きかな~。いずれはあれを使えるようにしたい!とワクワクするのも楽しいですし。

長らく親しんできたATバトルが廃止……されたかと思いきやむしろ進化!?

今作から戦闘システムがフィールドバトル(アクション)+コマンドバトルへと刷新。いわゆるCTB方式の戦闘が好きな自分としては、ATバトルかなり好きだったので寂しいな……と思っていたのですが。蓋を開けてみれば、いやそれ以前の情報公開の時点で察してましたが、このコマンドバトルの部分が普通にATバトルの進化形でした。やったぜ。

一番の変更は、ターンが回ってきたとき行動する前に自由に移動ができるようになったこと。これまでも移動コマンドはあり、攻撃クラフトでより多くの敵を巻き込むための位置取りなんかをする余地はありましたが……まあ、わざわざ1ターンかけてまではやらないんですよね。それが移動と行動が一体化したことにより自然と行えるようになりました。さらに位置取りに意義を持たせられる新要素として、側面・背面からの攻撃で特効が入ったり、仲間とある程度近付くことで連携攻撃が発生したり。

まあ、これ自体は他のRPGでも割とある要素だったりはするのですが、そうやってアクティブに戦場を移動しながら戦えるという要素と、従来からの駆動解除やSブレイクといった駆け引きの要素が合わさって、なかなかいい感じにまとまったのではないかなと。

ちなみにフィールドバトルの方は……ぶっちゃけ、例によって中盤以降はほとんどザコ戦全スルーしていたのでよくわかりません!(汗)。敵と接触=エンカウントとならなくなった分、むしろザコ戦スルーがしやすくなりました。敵を避けながら宝箱からアイテムを取るのも簡単。

流石に戦力が揃っていない序盤は多少はザコ戦でレベル上げしないとキツかったのでやりましたが、チャージアタックも絡めて敵をスタンさせてからシャード展開、シャードアタックで先制……という流れは気持ち良かったですね。

そのほか、戦闘の各種要素に関して、従来の要素を見直してうまく再構成してるなーと感じた点を2つほど以下に記します。どちらも、シリーズ初期からずっと続いている仕様・調整でプレイヤー側としても慣れきってしまってはいたのですが、やっぱり手を入れられるなら入れたほうがいいよなあ、という所にしっかり手が入ってたので、ほんと今回、他のRPGのトレンドなども含めた知見とセンスのある人(あるいはチーム)が、バトルデザインのオーバーホールをしてくれたんじゃないかなあと感じています。

「開幕Sクラフト連発」を抑制するブーストシステム

本作ではSクラフトを使うのに、「ブーストゲージ」を2本消費してキャラクターを「フルブースト」させる必要があるようになりました。最初はちょっとややこしいなと思っていたのですが……意図を察してなるほどなと思ったり。

ブーストゲージは戦闘開始時は最大で3本、Sクラフトを使うたびに上限が増えていき最終的には9本となるのですが……つまり、Sクラフトを使うためのCPがどれだけ溜まっていても、戦闘開始直後に多人数でSクラフト連発!とはできないわけです。従来のボス戦はこれで陳腐化することがなきにしもあらずでしたが、そういった過去作の構造的な問題にしっかり向き合って調整かけてきた所は素敵だなと。

それでいて、ボス戦などが長期化してくるとブーストゲージの本数も増えて、Sクラフト連発で畳みかける!なんて場面も出てくるのが、戦場があったまってきてる感じがして楽しかったです。

いくたびの変遷を経て、敵の状態異常耐性の扱いが納得感のあるものに

軌跡シリーズの敵の状態異常耐性、初期は有効・無効の二択だったのですが、ほとんどのボスはほとんどの状態異常が無効で、ボス戦で状態異常が全然活躍できなかったんですよね。閃の軌跡からは有効率という形に変わり、なんもかんも完全無効!とまではならなくなったのですが、封技・封魔や凍結・睡眠など、特定の行動が封じられる、あるいは行動自体ができなくなるような状態異常については、格の高いボスだと結局有効率5%とか「よっぽど運がよければかかる」みたいな調整になっていて、戦術に組み込めるレベルではないという悲しいことに。

これって結局、行動できなくなるタイプの状態異常が強すぎるのが問題なんですよね。ボス完封できちゃったらそりゃ面白くないよなと。黎の軌跡では、その仕様自体から手が入ることになりました。

具体的には、封技・封魔なら対応する行動が、また凍結などではあらゆる行動が、完全にできなくなるのではなく「確率で失敗する」ように。つまり状態異常の効果自体を緩和し、その代わり……ボスにも割と普通に通るようになりました。めでたい!具体的には耐性は○×△の3段階になり、ボスなんかはほとんどの状態異常が△ですが、完全に通らないということはないという。なんとラスボスにも効く。あと状態異常への耐性を下げるクラフトもあったりします。

これねー、一見地味な変更かもしれないのですが、「ボス戦で状態異常があまり活きない」というシリーズの長年の問題にしっかり向き合って、見直してくれたのがほんと有り難いんですよ。とくに自分は前述の通りザコ戦をほとんどスルーしてため状態異常を活かせる場面があまりなかったのでうれしい調整でした。

またこの手の状態異常を受けた場合の立ち回りについても、大事を取って回復するか、一か八か動ける可能性に賭けてみるかという択が発生するのも面白かったですね。

主人公と周囲のキャラクターの関係性をプレイヤーが操作できてしまう要素……要するに好感度の廃止(少なくとも本作では)

零・碧の軌跡ではマスクデータ的にゆるっとした形で、閃の軌跡ではがっつりシステムとして実装されていた好感度の要素。これが存在することの弊害は過去作の感想でさんざん書いてきましたが、改めて一言でまとめると「特定キャラとの深い関係性を、メインシナリオと絡めて描くことができない」という点に尽きます。要するにエステルの恋愛対象を自由に選べちゃうとしたら、空の軌跡みたいなシナリオは作れないよねという。

まあ学園ものというテーマで「クラスメイト皆の絆」というのを前面に出した閃の軌跡はそれでもよかったのかなとは思っていますが、そういうのはもう十分やりきっただろうし弊害も見えただろうし、次ではもうなくなるんじゃないかなーと期待していたら、やっぱりなくなりました。よかったよかった。キャラクターごとのサブイベントを見たりプレゼントを贈ったりすることで上がるコネクトステージは、好感度とは別のものだと認識しています。シナリオで描かれる関係性には一切影響しないので。

で、好感度要素がなくなったメリットが早速現れましたね……具体的にはヴァンとエレインの関係性。エレイン、あくまでサブキャラなのかな……と思いきや、いやー今回アニエスと並んでダブルヒロインの一人、と言っていいくらいにはヒロインしてましたよね!? 正直、軌跡シリーズでここまで渋い大人の恋愛関係……では既にないのかもしれませんが、少なくともかつてそうだった女性とのほろ苦くてちょっと切ない関係性が描かれるとはなぁ……。一方でアニエスの方は最後にちょっと踏み込んで来たな、という感じですが、さて次回作でどうなるか。

ヴァンとエレインの過去に色々あったんだな感、いいよね……。オラシオンでのイベントなんかも細かい表情の変化で見せるような所も含めてめちゃめちゃ良かったです

ただまあここまではプレイヤーの介入余地のない前フリとして撒いておいて、次回作ではまたプレイヤーの意思が介在するようになる可能性もなきにしもあらずなので、この話は一旦このくらいにしておきます。最終的にどうなったかの答え合わせは次回作の感想で!

肥大化したやり込み要素のリセット

これはどっちかというと、「今回はそこまで手が回らなかっただけ」の可能性もあるにはあるのですが……。釣りにミニゲームと、定番だったおまけ要素がカット。まあ今回都市アドベンチャー中心なので釣りがなくなるのはせやろな……というのはありつつ、カジノがあるのにそこで遊ぶ要素がないのは徹底してるなあとなりました。個人的には釣りなんかは特に、今立ち止まって遊んでる場合か……?となってしまいがち(ロールプレイ重視で釣り場をスルーこともしばしば)なので正直廃止でありがたいかも。

また料理は、絶品・珍妙・独自料理と1つのレシピから派生があって、とくに特定キャラが料理したときに独自料理ができる要素において、このレシピは誰が料理すれば独自料理になるのか……というのを模索しながら埋めていくのが結構大変だったのですが、この辺もばっさり簡略化、作れる料理は1種類だけになりました。レシピ本を読んで特定のキャラがアレンジ料理を閃く、という形で、フレーバーとしては独自料理の概念が残ってるのも丁度いい塩梅かなと。

あとはシリーズ定番要素の、街の人達に話しかけると続き物の本を貰えることがあって、それを全部集めるといいことが……というのも廃止。あれ、最初は街の人達とこまめに話す人へ向けたちょっとしたご褒美くらいのつもりで始まったんだろうなと思うのですが、トロフィーにも関わることもあって、義務感を感じてしまう人もいたんだろうなと思います。しまいには本を持ってる人がマーカーでわかるようになって、便利といえば便利だけど、なんだか本末転倒感も……。

こういった、あったらあったで楽しくないわけじゃないんだけど、ゲームプレイの本筋からは外れた、ときには先に進めたいという気持ちと食い合いかねない要素がばっさりカット・簡略化されていました。シナリオも含めたゲーム要素の肥大化への反省や危機感があったのかなという気もしています。もしかしたらいったんリセットかけて、要望の多いものを復活検討みたいなことも考えられているのかも。

(……と書いてたらちょうど黎の軌跡Ⅱが発表されたのですが(やったー!)、リリースに「カルバード共和国の舞台設定を活かした豊富なやりこみ要素など、『英雄伝説 黎の軌跡Ⅱ』ならではの独自コンテンツを多数搭載!」と書かれてたので、やっぱり今回はそこまで手が回らなかっただけかもですね。というわけで次回それなりにこの手のやり込み要素も復活しそうですが、程よいレベルに落ち着いてくれると個人的には嬉しいです。)

街の人達との会話といえば、今回、街で話しかけられる人が限定されるようになったのも、なかなか衝撃といえば衝撃でした。軌跡シリーズといえば街の人ほぼ全員に名前があって、話しかけられて……というのはもはやアイデンティでもあったとは思いますので。ついにそこに手を入れたかと。

ただ、いずれはそうなるかなという気はしていたんですよね。大きな都市が舞台になるようなことも多くなって、そうなると人もそれなりに賑わってないと不自然で。メインシナリオが進むたびに変わっていく、市井の人々のちょっとした会話の積み重ねで世界観を補完していくのは軌跡シリーズの醍醐味……とはいえ、最近は流石にボリュームがありすぎて、早くメインシナリオの先を知りたいという気持ちとバッティングすることもあって。いやもちろん、スルーしちゃえばテンポよく進められるんでしょうけど、そこはやっぱ、あるからには追いたくなっちゃうんだよな……。

というわけで、これも肥大化する要素へメスを入れる形になったのかなと思います。既にイースの方がⅨで同様の仕様になっていたので、やはりこっちもこうなったか……という納得感はありました。その代わりボイスで街の賑わいを表現したりと、要素を減らしたなりの工夫もされてますね。また、複数回の会話があるときはもう新規の会話がないよってなった時にTalkアイコンがグレーアウトするという仕組みにより、「まだ差分会話があるかもしれないので複数回話しかける」という手間が減ったのも大きいです。ちょっとフラグ管理が甘くてまだ会話が残ってるのにグレーアウトしてしまう場合もありましたが、この辺は次回作で改善されるといいなあ。

また、話せる人達それぞれのちょっとした物語を追っていく要素はしっかり残ってはいて、今回も楽しく追い掛けられました。なかでも首都は何度も話かける機会があったので思い入れが深いですね。とくに印象に残ったのは通称ヤダ子ちゃんとお母さん(最終的にヤダ子ちゃんがお母さんを元気づけたりしそうだなぁと期待していましたがやはり……!)、ジョギング女子とサイクリング男子(徐々に距離感縮んでいくのが微笑ましい)、アイドルあたりかな~。出張先の方だと、サルバッドのホテルにいるちょっとおませな少年少女(軌跡シリーズの定番)なんかも微笑ましかったです。


とまあそんな感じで、戦闘システムに限らずゲームを構成するあらゆる要素について、シリーズの慣習だからといった「聖域」を設けずにゼロベースで見直すというのを、意識して行われたんだろうなあと感じました。しかもここまでリニューアルかけた1作目にしては、ゲームデザインに大きな粗はなく手堅くまとまっているのも素晴らしい。軌跡シリーズの未来は明るいな!

……唯一、テキストおいて誤字脱字等が目立った(大型アップデートであるバージョン1.10より前は「え、これが見逃されるのは流石にヤバすぎるでしょ」というのがポロポロ、1.10以降でもそこそこ)のは残念でしたが。時間・リソースが限られる中で優先度下げられちゃったのかなぁ……でもやっぱりシナリオが売りの作品なんでそこまでしっかり目を配ってほしいですね。ちなみに誤字とかメモってあるので落ち着いたら報告予定です。

そのほか、つれづれ感想など

とまあ、メインテーマの話は一通り書ききったので、あとは箇条書きで徒然なるままに雑感など~

シナリオ・キャラクターについて(ネタバレなし)

  • 約100年前に民主化したカルバード共和国が舞台ということもあり、社会的には現代同等、技術的には近未来といった趣で、もはや普通に現代もののノリで話を作れるのが良い方向に作用してますね。現代的なテーマや身近な話題をもとに描かれる作品世界の解像度がこれまで以上に高い。
  • 一方で、(創の軌跡あたりから感じてましたが)もはやこれ完全にSFだな!という展開もあり、ワクワクしました。我々(プレイヤー)の世界にある概念が、仮説として提唱されるとか面白いなぁ……!
導力によるエネルギー革命が起きたことで「そっち」の方向へは進化しなかったとも言える世界で、仮説として「それ」が提唱されるとかある意味SFなんだよなぁ
  • 今回色々一新してるけど、逆にシリーズ内の位置付けとしては何の話やるんだろ……と思ったら、いやー世界観の根幹とも言える重要設定ど真ん中、「そもそも導力とは」という話に迫りそうじゃないですか。まあ詳細は次回作に持ち越しな感じになりましたが、楽しみだなあ。
    • ゲネシスがクロンカイト教授に「プロトタイプ・オーブメント」と呼ばれてるのとかもう言葉の響きだけでワクワクしちゃう。
  • そうして描かれるスケールの大きい話と、下町人情ものっぽい話が共存するのがやはり軌跡シリーズのアイデンティティだなと感じます。ポーレットまわりの話とかめちゃめちゃ良かった……
  • 事前情報ではグレーな稼業を営んでいるちょっとスレてそうな主人公、ということで今までにないタイプ……かと思いきや、蓋をあけてみればいつもの軌跡シリーズ主人公って感じでしたね。面倒見のいい人たらし!まあ、東亰ザナドゥのコウ君という前例があったのでそんなもんだろうとは予想していましたが(笑)
    • 1章ごとに1人加入しつつ、多くの章において加入キャラが話の中心となる、という構成も東亰ザナドゥを彷彿させたり。あ、そういえばインターミッション的な章で温泉に行くのも一緒だな……
    • ヴァン、過去作主要キャラクターも含めた顔の広さが作中でもツッコまれるレベルでしたが、表からも裏からも(筋が通っていれば)依頼を受ける裏解決屋というバックグラウンドにより説得力が出ていたのが面白かったですね。これまでの作品で名前が出てこなかったことも含め(あくまで裏での活躍なので不自然ではない)
  • メインキャラみんなそれぞれに好きですけど、そのなかでも個人的に一番の推しはリゼットさんかな~!めちゃめちゃ格好いい登場シーンに心を奪われ、気配りに溢れた仕事ぶりに癒され。あくまで契約に基づく対等な関係……といいつつ、絶対それだけではないよなと思わせてくれる情の厚さを感じます。私服がパンツスタイルというのも大人の女性という感じでよかったなあ。というか、私服姿は結局最後まで1シーンだけだった気がしますが、あのシーンだけのために私服モデル用意したんか!?ありがてぇ……
  • アニエスもやはり、現代的なメインヒロインとして好感の持てるキャラクターでした。ヴァンのもとで色々なものを見て、成長して……という意味では主人公の一人という気もします。その結実とも言えるオラシオンの例の件で、「最高のメインヒロインだ……!」となっちゃいました。ヴァンとはまた違う視点で、これまで得てきたものをフル活用して……
  • フェリ、戦士としての強かさもありつつ、とくに日常面では素直で良い子。後輩キャラ的な可愛さがありました。ショートカット繋がりもあり、東亰ザナドゥのソラを思い出すなあ。
  • アーロンも違う意味で可愛い(笑)。戦闘の連携時の呼びかけが「オッサン」「メイド」とかから名前呼びに変わってくのいいよね。あと、温泉でのヴァンとの会話が渋い。聡いし、ほんとは気遣いもできる奴だけど、やっぱり悪ガキな所もあって……。庇護対象扱いされてる悔しさみたいのもちょっと滲み出てたなと。
    • そうそう、ついでにここで書いちゃいますが、戦闘時に次のメンバーへ声がけするの、連携してる感あってめっちゃ良かったですね。
  • ジュディ……グリムキャッツが思ってた以上に面白枠だったのが面白い。3章でのゲスト加入時にシステムメッセージにまでイジられてるの笑っちゃいました。
  • 共和国編、ということで発表当時からずっと期待してましたが、いよいよジンさん再登場!いやあ感慨深い……。空の軌跡でもやり手な面は見せてたけどあくまで助っ人的な立ち位置なこともあってリーダーとしての手腕みたいのを見る機会はあんまりなかったけど、なかなか食えない感じなんだなあと。それでいて頼れそうな雰囲気があるのは流石ですが。
    • キリカさんやヴァルターとの関係性も良いですが、あとはやはりレンとの共闘がアツかったですね。帝国編でのオリビエとティータもだけど、空の軌跡のときのメンバーが時と場所を変えて再会するの、やっぱ感慨深いんだよなあ。
  • そのレンですが、思ったよりもしっかり本編に絡んできて、それでいてメインキャラを食うほどではない絶妙な立ち位置だったと思います。レンにとってのアラミスが、ティータにとってのトールズ第Ⅱみたいな存在になっていそうな雰囲気もあって、良かったねぇと思ったり。「あの頃」にヴァンと繋がりがあった設定はそう来たかー、と思いましたが、エステル・ヨシュアやティータともまたちょっと違った信頼関係が感じられて、そういう人が居てくれて良かったなあと思ったり。うっかり一人称がレンに戻るの可愛い。
  • フィーがすっかり一人前のレディって感じで「大きくなったなぁ……」としみじみ感じちゃいますね。クラフト「瞬光石火」使用後の、銃口にふっと息を吹きかける仕草がかっっっこよすぎる。でもやっぱりものぐさっぽい所もあって可愛い。
  • 今回の「本で読んだ伝説の人物に会えた!」枠、ジャック&ハルも感慨深いなあ。初登場、空の軌跡SCですからね。15年以上前か。
  • 全体的に、本作からプレイしてもメインストーリーの理解には十分問題ない一方で、噂話なんかも含め過去作キャラの話題がちょいちょい挟まれるという、丁度いい按配だったと思います。龍來でNGO?の人が話してるデスクワークなら何でもできて凄い後輩って、トワ先輩のことだよな~とかほっこりしたり。
    • 閃の軌跡Ⅲでで帝都に居た共和国の書記官さんが出てきて嬉しくなっちゃいました。家族と再会できてよかったねぇ……。
    • リィンは教官続けてるんだろうなとは思ったけど、Ⅶ組も次の世代に続いてるのは想定外でした。でも別に2代で終わらす必要もないのか。なんかちょっと嬉しいような、全然知らない「Ⅶ組」があるというのはちょっと複雑なような……
    • にがトマト開発者の人の再登場とかもなんか嬉しかったですね。空の軌跡、懐かしいなぁ……

各所に散りばめられる「変身・ヒーローものらしさ」

  • ヴァン/グレンデルが完全に変身ヒーローもの(ダークヒーロー寄り)なんですが、他にも「変身もの」「ヒーローもの」っぽさが色々散りばめられていたなと。グリムキャッツも変身ヒロインでしたし(ニチアサでやるには刺激的すぎる格好ですが……)、「ロボット犬を従える少年」というのも、変身ではないですがヒーローものにありそうな雰囲気だと思います。
  • リゼットさんのヒーローもの要素はSクラフトのライダーキックかな?なんて思ってましたが……そう来たかぁ!
  • グレンデル戦は通常の戦闘の延長、拡張という形で楽しめました。コンボ組めるのいいな~。
  • これまで一瞬で行われていたヴァンの「変身」が長尺で行われるシーン、今まではメアが略式で済ませていたのを(記録を取るためもあって)正式バージョンで、という感じかなと解釈していますが、それはそれとして今まで一瞬で終わってた変身のプロセスが描かれるのは「では、蒸着プロセスをもう一度見てみよう!」に通じるものを感じてアツかったです。

音楽について

  • 今回の通常戦闘曲、めちゃめちゃ耳に残るメロディでハマっちゃいました。ゲームプレイ中以外も脳内再生されてたレベル。フィールドバトル→コマンドバトルで音色が増えるインタラクティブミュージックになってるのも面白かったなと。
    • それだけに、中盤以降全然ザコ戦やらなくて聴く機会がなかったのは残念でしたが……
  • グレンデル戦のBGMも好き。ヒーローものの決めシーンっぽさがあってアツかったですね。
  • 対グリムキャッツ戦の戦闘曲(ですよねあれ、多分)も「それっぽさ」があって楽しかったです。
  • 主題歌も好き。歌い手の佐坂めぐみさん、閃の軌跡Ⅲの主題歌の頃は(あくまで自分の好みの話ですが)こういう曲調の歌のボーカルとしてはもう少し声にパワーが欲しいなぁ……と感じていたのですが、閃Ⅳ、創と経て徐々に違和感なくなっていって、今回のような曲調でもまったく不足を感じなくなりました。ありがたし。
    • OPムービーも格好良かったなあ。創に続き作中CGを使用した3Dですが、モデルのクオリティもモーションも演出も、オープニングアニメとして遜色ないレベルになっていると思います。
  • うーん、最近はクリア後にサントラ聞きながら余韻に浸るのが定番だったのですが、12月中旬にもなってサントラ出てないのは想定外でした。ちょうど情報出ましたが、来年3月ってまたずいぶん先だな……。なのでどうしても印象に強く残った戦闘曲や主題歌の話ばっかりになってしまいます。イベント曲なんかもぐっと来た曲が結構あったはずなんですが……。とりあえず、過去作でもあったけどタイトル画面曲が作中イベントシーンで流れると結構印象違って聞こえるのとか良かったですね(これはどちらかというと演出の妙かも)。

シナリオ・キャラクターについて(ネタバレあり)

というわけで、例によってネタバレ避けのための改行いれときましょうか。ちなみにこれより先にネタバレ以外の内容はありません。

もいっちょ。

もう少しかな。

はい、ではそろそろ。

  • オラシオンの「ゲーム」で最初の階層の最奥へ突入する前にヴァンが「覚悟」を問うシーンって、最後にヴァンが人の命を奪う展開への伏線というか、その道のプロではない子供なんかも居る中でああいう決着になることへのエクスキューズみたいな面もあるかなーと思ったり。仲間達への語りかけであるのと同時に、今作の主人公はどうしても避けられなければ「それ」を選ぶ、選べる人間であるという、プレイヤーへの語りかけでもあったかなと。軌跡シリーズ的にはやはり結構意識して引いてた一線だとは思うので。(今回のシナリオはいろんな面でそういったシリーズの殻を破ってはいますが。)そこを丁寧にフォローしてくれたのは有り難いなと感じます。
    • 他の幹部は止めを刺すかどうかをプレイヤーが選択できる(あくまでそうしなければ自他に害が及ぶという咄嗟の状況に追い込まれた上でですが)のも、ジェラールについては他の手段を選ぶ余地すらない、というのを強調するためでもあるのかなとか。
      • ただ他の幹部のシーンで、止めを刺す選択をしたときにどうなるかは未確認なので、実際には選んでも止めを刺さない形になるのかもしれませんが。
  • ジュディスとリーシャの関係性いいなあというか、(後付け設定ではあるだろうけど)リーシャに同年代の、裏の事情も相談できる友達が居て良かったねぇ……となりました。同年代の友達に対するような気さくな言葉使いのリーシャ、結構新鮮かも。ロイド達相手だと丁寧語だし。友達といえばサンサンもだけど、創の時は緊迫した状況だったからなぁ(零碧は流石にうろ覚え)
  • 致命的なものではないけど一応微妙にネタバレなのでこちらに。最終章の4spg「拝啓、裏解決屋殿」、軌跡シリーズらしくてめちゃめちゃ良かったですね。これまでの依頼で助けた人達がお礼に来るという。かなりじんと来ました。
  • 東亰ザナドゥに近いものを感じるなあ、というところから、終盤で首都、異界化みたいな感じになりそうだなあとも思ってましたがやはり。まあ定番といえば定番ですね。
  • 街で話しかけられる人が限られるようになった、というシステム上の仕様変更を、「一度でもヴァンが話した事がある人だけ時空停止の中で動ける」という形で活かしたのは「そう来たか!」と唸らされました。単にシステム上の制限だと思っていたのがシナリオで活かされているのが上手いなと。ちょっと飛び道具っぽいですが、軌跡でそういうことをやるというのも意外で新鮮でした。
  • ラスボス戦曲が主題がフルバージョン!ベタだけどそれがいい!展開も合わせてめちゃめちゃテンション上がりました。
  • ヴァン、表向きクールぶってるだけでいつもの軌跡シリーズ主人公だった……というだけでなく、境遇もリィンに近いものがありましたね。全部一人で抱えていってしまいそうな所も……。表面上全然そんなつもりはないそぶりなのが余計たちが悪ぃな!(苦笑)いやそこが格好いいんだけどさぁ……
  • が、周りがそれを許しませんよというのも軌跡シリーズなのさ。いやしかし、「今作の物語自体はいったん綺麗に完結する」という事前情報がなければまーたクリフハンガーか?と思う所でしたが、いやその事前情報があってなお、なんだかんだでクリフハンガーか?と疑ってましたが……いやー、今作の中で「取り戻す」ところまで綺麗にやりきったなと。
  • 軌跡シリーズの連作の1作目がクリフハンガーじゃなかったの、零の軌跡以来だと思いますが(閃はⅠ・ⅡとⅢ・Ⅳでそれぞれワンセットという解釈)、さらに言えば主人公がなんやかんやヤバいことになった上で、その作品内で(ひとまずは)決着が付く、というのは初では?いやーこれはびっくり。いや本来はそれが普通なんですけどね!
    • いやまあ、ここまで言っておいてなんですけど、個人的にはクリフハンガーも結構好きではあるんですよね。ちゃんと続きが出て回収してくれる前提であれば。
  • ともあれ、色々と伏線も張られ謎も残されはしているので、次回作も楽しです!ヴァンをとりまく人間関係の進展?決着?も楽しみ。
  • 次回作、《斑鳩》にシズナの出番増えそうだし、リィン再登場するかな?あと八葉一刀流繋がりで……そろそろアネラス再登場、いかがですか……。
  • あと過去作キャラだとケビン・リースも長らく再登場に期待してるのですが、星杯騎士は新キャラが2人も出てきたので望み薄かなあ。起きている事態的に星杯騎士集結もワンチャンなしではない気はするのですが。
  • 「世界の理に触れる言葉が認識できない」みたいの、閃の軌跡Ⅳあたりでもあったと思いますが、やっぱゾクゾクしますね。単なる伏せ字でなく、文字と音声にエフェクトが入った感じが雰囲気出てます。この辺の伏せられてた所の内容が明らかになるのも楽しみだなぁ。
それはそれとしてメア可愛い。グレンデル戦でヴァンの周りをふわふわ浮いてるのも可愛いし、「行きなさい、ヴァン!」とか声かけてくれるのも好き

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